スピードスケート用ブレードの曲げについて
公開日:
:
スピードスケート
今日の愛知県は20度を超えました。
まさに陽気な天気で、気持ちよかったです。
明日からは雨が降り、また寒い日も来るようですが、
確実に春は近づいているようです。
スピードスケート用のブレードの曲げについて、お客様とお話することがありました。
「他業者様に90mの曲げを施工してもらったのですが、そんなものですか?」とのこと。
業者様がどういうつもりでおっしゃったかはわからないのですが、
『90m』の曲げを入れることはほぼ不可能かと思います。
理由は二つです。
一つは、市販で購入できるダイヤルゲージの測定可能範囲を遥かに超える世界だからです。
こちらをご覧ください。
メイプルのダイヤルゲージが、市販されているダイヤルゲージの中で最も細かく見れる設定になっているので、その読み取り表を作成しました。
曲げ90mというのは、こちらの表でいうと、14μ(ミクロン)を指します。しかし、14μ(ミクロン)は87m~92mの範囲を指します。
メモリ14から微動だにしない曲げを作成できたとしても、87m~92mに分布します。この時点でも「90mの曲げを入れました」というのは言えないことがわかります。1/10000mmのダイヤルゲージを使用して測定したのなら別ですが、、、
では、±1ミクロンの精度で作成したらどうなりますでしょうか?
上記の黄色の範囲になります。81m~100mの範囲になります。
ちなみに、ダイヤルゲージ上±1μの精度で曲げをコントロールできる方にも出会ったことがありません。
なので、「90mの曲げを入れています」とか「25mロックの3倍の75mのロックを入れています」などというのは、正しい表現ではありません。加工した本人様もそういう意味でおっしゃっているとは思いたくないのですが、、、。
もう少し申し上げると、こちらのブログの読者は、もうご存知かと思いますが、
ダイヤルゲージは機械です。測定具です。機械や測定具には『誤差』や『公差』というものがあります。
この『誤差』『公差』があることから、ロックですら23mや25mという議論がまったく意味がないと申し上げてきましたが、
80mや90mをダイヤルゲージで論ずることはまったく意味がなく、答えもでません。
では、スピードスターでは、どうやって曲げを入れているのかというと、
定規型のゲージと『目視』です。
定規型ゲージは絶対座標で作成しますので、ダイヤルゲージのような『誤差』がありません。『絶対』なので。
そして『目視』ということに疑問を感じられた方がいらっしゃるのではないでしょうか?
「1/1000mmを目視かよ、、、」と思われたのではないでしょうか?
見方を変えたり、工夫すると、何十倍、何百倍にも見えてきます。
当ショップで曲げ加工を施工された方は、必ず「きちんと曲がっています」という証明で、
ブレード側面に直線の像を映し出して、傾けた写真が同梱されているはずです。
『なんだこれは??』と未だに思ってらっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。
(思ってらっしゃっていても、悲観されなくて結構です、ある日いつか気づけますので!!)
あの写真こそが、当ショップの『きちんとまがっている証明になります』
当ショップで曲げを施工しましたら、少なくとも2つの資料が同梱されています。
1つはこちら
加工前のロックと曲げの状況を数値として記載しています。
ロックと曲げの値だけでなく、ブレードの厚み、角度、使用している器具など、
『どういう条件下で、どういう測定をした結果、どういう値となったか』を記載しています。
これを読み取れる方は、この加工技術のすごさが良くわかると思います。
ちなみに、こちらのブレードは新品のブレードです。
詳しく読み取れない方でもわかると思いますが、曲げを見てください、加工前のブレードが左右にぐにゃぐにゃ曲がっているのがわかりますよね。(プラスだったり、マイナスだったりするのがその意味です)しかもそのぐにゃぐにゃっぷりの幅の広さと言葉になりません、、、・
曲げ施工していないブレードがいかに危険、劣悪な状態かがわかります。(今日はこれ以上深くお話いたしません)
この数値では、曲げの値が多少ばらついています。「おいおい、このショップの限界はこれが限界かよ、、、」とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。先ほどの御説明を読み返していただき、数値では議論できない旨をご理解いただければと思います。「きちんと左に綺麗に曲がっているということがわかります」
さらに、数値では測定できない、「完璧な曲げ」を証明するために、こちらの写真も同梱しています。
預かった際のブレードの曲がりっぷりと、修正した後のブレードの曲がりっぷりを写真に撮っています。
冗談は、左右にぐにゃぐにゃしている為、側面に移っている画像もぐにゃぐにゃです。
「これがぐにゃぐにゃ!?」という声が聞こえてきそうです。これを包丁に例えると、刺身は絶対に切れない包丁です。
下段の修正後のブレードは綺麗に矯正されています。『若干の歪』が確認できますが、
これは曲げの限界ではなく、ブレードの側面そのものに凹凸があるからです。
ちなみに、究極のブレード加工は、ブレード側面にある歪すら除去します。現状考えれるブレード加工の限界だと思っています。
究極のブレード加工は、話せないくらいの加工と、効果がありますので、今日はこれ以上はやめときます。
総じて何を申し上げたいかというと、
・ロングトラックの曲げはとんでもない世界であること(=90mなどという断定して曲げを言うことなどできないということ)
・新品でもぐにゃぐにゃであること(=真っ直ぐにしたいなら、真っ直ぐに加工しなければならない!!)
・綺麗に曲げているかどうかは、ブレード側面に映し出された虚像を拡大することで、「最後は目視!!」目視が最高の精度を誇ります!
当ショップで加工をした、ほとんどの方が、
「まったく別物」「一度この加工を施工されたブレードで滑ったら、他の加工では滑れない」と感想をいただいています。
オリンピックでも、全中でも、地方の大会でも、
これからスケートを始める方でも、、、
速くすべりたいなら、曲げは必須の加工です。
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スピードスケート専門店 Speed Star
店長 : 中山 久美
電話番号 : 050-5534-5640
(不在の場合はメッセージを残しておいて頂ければ必ず折り返します)
メール : info@office-speedstar.com
お得な
メルマガ登録 : http://goo.gl/FRJPR
ブログ : http://blog.office-speedstar.com/blog/
ショップURL : http://office-speedstar.com/
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