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【超重要】スラップシステムの効果について

公開日: : スピードスケート

 

スラップシステムについて北海道の方から、お問い合わせをいただきました。

この質問は他の方からもよくいただきます。

システムの構造と仕様を理解することで、システムの効果を100%引き出していただければと思います。

 

******頂いた御質問(抜粋)*****************************************************

 

バイキング35の靴にメイプルの34

ツインレーザーを付けると良いのでしょうか?

良いか、悪いかは無いと思いますが本人のフィーリングにもよりますよね。

 

滑りを見て頂いている訳ではないので、簡単には言えないと思いま

すが端的に何か気になる事があれば教えて欲しいのです。

 

十勝ではバイキングが圧倒的でメイプルは殆ど居ませんので評判が解りません。

 

後はちょくちょく耳にするのは靴のサイズより一つ小さいシステム

を付けると良いと言う方も居るのですが何か根拠が有るのか。

 

駄文で申し訳ありませんが御意見お願いします。

 

********************************************************************

 

 

 

******ご回答*********************************************************

お問い合わせにご回答いたします。

結論を言う前に、色々な視点で、システムのサイズについてお話させてください。

(少し長くなることご容赦ください)

 

 

  1. バイキング35にメイプルの34ツインレーサーを装着すると良いのでしょうか?

 

こちらの質問には二つの意味があります。

一つはサイズ的にどうか

二つ目はメイプルのブレードそのものがどうか

です。

 

 

 

メールの文章を拝読するに、メイプルのブレードがどうかというご質問かと思うのですが、

システムサイズは非常に重要ですので、こちらも合わせてお話させていただければと思います。

 

 

 

結論から申し上げると、サイズ表上からは上記の組み合わせは最適な組み合わせです。

バイキング35のボルトピッチは140mmですし、

メイプル34のボルトピッチも140mmです。

 

ちなみに、メイプルはシステムについては2サイズずつ分布しています。

(34/35とか36/37とか38/39とかです)

 

 

そもそもメーカーによって、サイズ設定が異なっていますので、

一概に、バイキング35がメイプル35に相当するかというと

サイズ表上の適正な組み合わせにならない場合がありますので、

必ずショップに確認したほうが良いと思います。

 

 

 

よく問題になるのは、ボルトピッチが145mmや155mm、165mmの場合です。

メイプルのサイズ表上の考え方は、長い方に合わせています。

 

 

(例)

靴のサイズ:38

ボルトピッチ:155mm

 

靴のサイズ:39

ボルトピッチ:160mm

 

ブレードサイズ:38/39

ボルトピッチ:160mm

 

 

 

 

ここまではあくまでもサイズ表上の組み合わせです。

つまり、できるだけ、ボルトを固定する箇所のセンターでブレードを固定することを前提とした考え方です。

 

 

 

まったくスケーティングフォームを無視した考え方です。

 

 

 

 

 

では、スラップシステムの構造と、力の伝わり方を基準とした考え方ではどうでしょうか

 

 

 

スケーティングフォームから繰り出された力は、

どのように伝わるかをまず知ることが重要です。

着氷し、スラップのかかとがかんかん当たる部分が最初ですね。

その後、押し終わり(蹴り終わり)はどこかというと、靴とブレードを連結しているボルトの箇所ではありません。

チューブとシステム部分です。(まあ、見ればわかりますよね、、、)

 

 

 

システムとチューブを連結している箇所は、

ほとんどのブレードはかかと側とつま先側の2か所です。

このうち、かかと側はあまり影響がありません。

なぜなら、基本的には体重を後ろから前に乗せるだけですので、長さ方向のどの場所にでも対して変わりません。

(もちろんですが、左右の位置はとても重要ですので、時間をかけてじっくりこだわって位置決めする必要があります)

 

 

 

重要なのは、つま先側です。

スラップシステムの最大のメリットは、つま先側のボルトの位置からスラップの可変する箇所までの距離です。

この長さだけ、スラップシステムが作動する(開く)ことで、より長く氷を押すことが可能になっています。

スラップスケートのメリット

 

 

お手持ちのブレードと靴を見ながら、

頭の中で、

「もし、つま先のボルトの位置からスラップの可変する箇所までの長さが10cmあったらどのような力の伝わり方をするだろう」と

イメージしてみてください。

 

 

 

つま先のボルト位置までは、靴全体で氷を押せますよね?(ここまでは変わりません)

その後、スラップが開いて可変箇所(写真の黄色矢印)までの10cmの間、

スラップが開き続けて氷を押し続けることがイメージできませんでしょうか?

 

 

 

メリットだけではなく、より長く押すことができるがゆえに、回転数は確実に落ちます。

短距離においては、必ずしもメリットだけではないことがわかります。

 

 

 

今回の説明もスケーティングフォームを無視しています。

 

 

 

これらを踏まえて、当ショップの結論を申し上げると、

「スラップは可能な限り大きいシステムを付け、可能な限りスラップの可変位置を前にする(添付写真の→を長くする)」

です。

この位置でゴールまで滑るスケーティングフォームと筋力を有していることが前提ですので、

これを可能にする為のトレーニングを積んで欲しいと思います。

 

 

 

 

 

 

試しに、できるだけ前方に変更して滑ってみてください。

ブレードの位置が合う合わないというのもありますが、

仮にばっちり取り付け位置が合ったとしましょう、スケーティングフォームも完璧だとしましょう。

それでも全く滑れないはずです。タイムも落ちるはずです。

 

 

 

理由は簡単です。

こらまでよりもより長く氷を押せるということは、

それだけ長い時間筋肉に負担がかかります

瞬く間に筋肉が悲鳴を上げて、スケーティングフォームを維持することができなくなります。

 

 

 

勘違いしていただきたくないのが、単純な『筋力不足』ではありません。

これまでも、辛い練習を乗り越えて、掛けてきた時間なりの筋力や体力は付いています。

遅筋とか速筋とかを聞いたことがあると思いますが、

『これまでのスケーティングフォームで使用していた筋肉』と『筋肉の質』に対して、

「異なった箇所の筋肉を使うようになる」ことと、「必要とされる筋肉の質」が変わりますので、

突然スケーティングフォームを変更すると、タイムが落ちたりすることは「普通の現象」です。

(既存のスケーティングフォームを捨てるとか、改善するというのはこういうことを言います)

 

 

 

 

なので、このオフの期間にしっかりと、

「できるだけスラップシステムを前にする(少なくとも去年よりは)スケーティングフォームを考える」

「こういうスケーティングフォームで滑りたい!!」

「こういうスケーティングフォームで滑れば速くなるはずだ!!」

「こういうスケーティングフォームで滑ればここまでスラップを使えるはずだ!!」

という具体的なスケーティングフォームをイメージし、トレーニングに取り組む必要があります。

 

 

 

アイスリンクが開きましたら、

その新しいスケーティングフォーム、新しいスラップの位置でじっくりと乗り込みます。

新しいスケーティングフォームをモノにしてください。

新しいスラップシステムの使い方をマスターしてください。

 

 

 

 

 

話が長くなりましたが、システムサイズを小さくするとどういう影響がでるかはここまで読むとお分かりいただけたと思います。

システムを小さくするというのは、野球でいう「バットを短く持つ」というと同じ意味です。

ホームランは打てませんが、センター前ヒットは打ちやすくなります。

 

 

つまりは、操作は必ずしやすくなります。筋肉への負担も軽くなります。「感覚的には」滑りやすくなるでしょう。

ただ、瞬間的MAXスピードは必ず落ちます

「従来までのスラップの取り付け位置が完全に筋力・体力上、持たない位置」なら

「現在の筋力と体力に合わせて」システムを小さくするメリットはあります。

ただこれは、シーズンに入って、筋力・体力が追い付かず、現在使用しているシステムの位置を最大限調整しても、

なお筋力・体力が追い付かない場合の最後の選択肢です。

 

 

 

よく、取り付け位置は人それぞれという方がいらっしゃいますが、

それを完全に否定しているわけではありません。「最後は人それぞれ」です。

 

前後の位置は第一に「スピードが出る位置」を指向しないと、

せっかくのスラップシステムを使いこなせず、もっとタイムが出るはずなのに、出し切れないかもしれません。

(左右の位置は「人それぞれ」だと思います)

 

 

 

少なくともオフシーズン中に検討する事項ではありませんので、

上記の「物理的にMAXスピードがでるスケーティングフォーム」を指向し、

トレーニングに励んでいただきたいと思います。

 

 

 

 

続きまして、メイプルのブレードそのものがどうかですが、

「選ぶべきブレード」です。

 

 

 

オランダでは、オリンピックに出場していた選手の多くはバイキングのブレードを使用していましたが、

オランダ国内でメジャーなブレードはメイプルです。

今回のオリンピックから相談を受けているある選手が、

オリンピックの後、オランダに行った際に、オランダの練習風景を見ると、

ほとんどの選手がメイプルを使用していたとも言っていました。

 

 

 

 

バネだけでなくチューブの構造もバイキングよりもメイプルの方が進んでいますので。

モノとしては間違いなくバイキングの長野シリーズよりはメイプルの方が進んでいます

 

 

 

長々と申し訳ありませんでした。

参考になれば幸いです。

 

 

*********ここまでが回答********************

 

 

毎回、お問い合わせをいただいた際は、魂を込めて御返信しています。

これまで、

「聞きたいな、、、、」とか

「こんな質問聞いてくれるかな、、、」とか

そういうことで、ご質問を控えていた方は、是非お問い合わせください。

過去にも何度も申し上げていますが、今回の例のように、

何気ない質問が、「本当に重要な質問」のことがよくあります。

むしろ、シンプルなスポーツなので、質問は何気ないことが多いです。

しかし、その奥深さをどこまでご理解されているかが重要ですので。

 

 

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ロックの管理はしていますか?

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