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マラソン川内選手から学ぶ試合で調整するということ

公開日: : 最終更新日:2013/10/17 スピードスケート

マラソン川内選手から学ぶ試合で調整するということについてお伝えしようと思う今回、
こんにちは。スピードスケート専門店 Speed Starの中山です。

民間マラソン選手の「The全力疾走」の川内優輝選手は皆さんご存知だと思います。
個人的にも大好きなスポーツ選手です。

さて、なぜ川内選手が好きなのか、
スピードスケートにも通ずることがありますので、僕なりの理解と
指導者としての考え方を紹介したいと思います。

川内選手が有名になったのは、

フラフラになり、気絶するまで、全力を出し切る
スポーツ選手の鏡のような追い込み方

というのもあるのですが、
まあ、これは、メディアから聴講者に刷り込まれた事実が大きいと思います。

特筆すべきは、試合数の多さと 「試合で調整していること」と理解しています。

これをやっているから、一般の普通の仕事をこなしながらも
あのような高記録を維持できているということです。

川内選手の調整方法は『”環境認識”を踏まえた”自己認識”をできている選手』
でないとこなすことができない
非常にシンプルですが、高度な調整方法です。

もう少し具体的に説明します。
皆さんは、試合に臨むときに、どのような心構えで参加していますか?

・毎回ベストタイムの更新でしょうか?

仮に上記のように回答したとします。

この場合、
・0.1秒でも更新すると良いのでしょうか?
・1.0秒更新すると良いのでしょうか?

又は、「可能な限り速いタイム」でしょうか?

では、ベストタイムに届かなかった場合はいかがでしょうか?
ベストタイムを出せなかったので、そのレースはダメなのでしょうか?

結論を申し上げると、
 本人が出せる「絶対記録」と
 外部環境を考慮した「実戦記録」と
両方を考慮して、レースの記録を評価する必要があります。

極端なことを言うと、
向かい風20mの暴風が吹いている中でのレースでも
「ベストタイムを出せるように頑張れ」といいますか?多分言う方はいないと思います。

では、向かい風2mの風が吹いているレースではどうでしょうか?
「ベストタイムを出せるように頑張れ」と言う方はいるかもしれませんね。

20mでも2mでも関係ありません、
外部環境をどれくらい考慮するかの『係数』が変化するだけで、
タイムには必ず影響します。

なので、

この環境ではこれくらいのタイム(実戦記録)で滑れるはずだ!!

という環境認識と自己認識ができなければいけないのです。
(指導者の場合は、選手管理)

そして、仮説に対して、出た結果について”環境認識”と”自己認識”との乖離を入念に分析します。

氷の状態が思ったよりも柔らかかったかな、、、
風が思ったよりも強かったか、、、
レース展開が悪かったかな、、、
等など、「環境が悪かった」からか、「自己」が悪かったからなのかを分析します。

ここで注意することが、
悪いレースについて分析する方は多いのですが、

仮説よりも良い結果がでた場合はもっと分析しなければなりません。

何がよくてこの高記録につながったのか。
 ・イメージしていた技術の効果がおもったよりも良かった
 ・レース展開が良かった

等など、これは必ず次に繋がりますので、「何が良かったのか」は必ず分析しなければなりません。

また、前置きが長くなりました。話を戻します。

川内選手は毎レース必ず課題を持ってレースに臨んでいます。

マラソン選手ですが、ハーフマラソンや5000mにも出場しています。
インタビューコメントにも現れていますが、
 このレースでは「スピードの確認」、
 このレースでは「レース展開の確認」、
 このレースでは「今の自分の状況の確認」、

このように、そのレースで勝つことを全く目的としていないのです。
あくまでも、マラソンのビッグレース(オリンピックや世界陸上、世界選手権等)で
勝つこと(ここでベストが出せること)の調整ででしかないのです。

日本のスピードスケートの選手でこういった考え方で
レースに取り組んでいるトップ選手は残念ながら少ないですね、、、

世界戦から帰国後の翌週にローカルレースがあれば、
迷わず参加してほしいです。

その前の国際試合で得た課題を数日間で調整し、
実際のレースで実践するのです。(タイムなんてどうでも良いので)

もし、ここで新技術の発見や、良い感触が得られれば、
次の方向性が見えてくるかもしれません。

年間で、ベストタイムを狙う大会(なにがなんでも勝ちたい大会)は1回でしょう。
その為の準備として、タイムを狙う大会が2回くらいでしょうか。

それ以外の試合及び練習は全てトライ & エラー ででしかないはずです。

でも、川内選手の勝負飯(前日に必ず食べるご飯)はカレーライスとのこと。
本人も推奨していないと言っているのですが、、、、

やはりちょっと変わっているんでしょうね(笑)

世界陸上、精一杯頑張って欲しいと思います。

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