ロックを崩さないように研ぐ道具 23Rって何? 25Rって何?
公開日:
:
最終更新日:2013/10/17
スピードスケート
スピードスケート専門店 Speed Starの中山です。こんばんは。
定規型のロックゲージを取り扱ってから
問い合わせが多く、反響がすごいので、
こちらの方でご紹介いたします。
定規型ロックゲージ
http://office-speedstar.com/?pid=54891033
まず、スピードスケートを始める際に、購入したり、先輩から譲り受けたりしながら、
皆さんはこちらの道具を揃えるでしょう。
・スケート靴
・ブレード
・ワンピース
・砥ぎ台
・砥石
スピードスケートを始めると、ブレード管理の重要性にすぐに出会います。
「ブレードは錆びないように、水分をしっかり拭かなければならない」
とか
「ブレードはロックというものがついていて、ロックを崩さないように研がなければならない」
とかとか、、、
では聞きますが、
◆「ロックを崩さないように研げていますか?」
色々な方に聞いてみましたが、
まとめると、このような内容でした。
研げている:20%
研げているかわからない:60%
研げていない:20%
でした。
だいたい予想通りでした。
研げている人と研げていない人に聞いてみました。
◆「何をもって研げている(研げていない)としていますか?」
目視 :70%
マイクロゲージを使用して:30%
でした。
まあ、これも予想通りでした。
結論から申し上げると、
ロックを崩さないように研げていると人は0%です。
少なくとも私が聞いた方でロック管理ができている人は
たったの一人もいませんでした。
理由について解説する前に、
そもそも、23R(アール)や25R(アール)のロックとは何かと知ることが大事です。
23Rのロックとは
半径23mの大きな円の円周部分のうち、
ブレード長さ部分を切り抜いた箇所を指します。
手書きの汚い絵で申し訳ありませんが、
こういうことです。
【半径23mの大きな円】
【ロック部分の拡大】
イメージできましたでしょうか。
(あまりの汚い絵なので、イメージできなければ私のせいです)
では、23Rのロックと25Rのロックってどのくらい違うのでしょうか。
17インチのブレードで計算してみました。
◆23Rのロックについて、ブレード先端及び後端とロックの頂点との高低差
= 1.01mm(1/1000mm四捨五入)
◆25Rのロックについて、ブレード先端及び後端とロックの頂点との高低差
= 0.93mm(1/1000mm四捨五入)
その差は、80ミクロン(100分の8mm)です。
ちなみに21Rは 1.11mmです。23Rとの差は100ミクロン(10分の1mm)です。
片目をつぶって、ブレードを後ろから見て
「ロックが高いな~」って評価なんてできるわけないのです。
もし、この1/10mmの高低差をブレードの端から端までを目で見て評価できれば、
その人は人間ではありません、絶対にロボコップです。
このことから、目視で管理している人はできていないと言えます。
では、ダイヤルゲージを利用して管理することはできないのでしょうか。
答えはできません。
理由は二つ
①ダイヤルゲージもブレードも温度で形状が変化するから
(温度だけでも10ミクロン単位で簡単に変化します)
②ダイヤルゲージの値を0に合わすことがそもそも非常に難しい為
指している値の正確性が低いから
③ダイヤルゲージの示す値にも誤差があるから
です。
定規型のロックゲージの商品ページにも書いてありますが、
ダイヤルゲージも非常に有効的ですが、それ単体で使用し、
ブレードを管理することはできないのです。
マイクロゲージの使い方については、
後日ご紹介します。
なので、ロックを正確に測定するために取扱を始めたのが、
定規型のロックゲージです。
http://office-speedstar.com/?pid=54891033
定規型のロックゲージは、ダイヤルゲージを使用してつくりません。
なぜなら、ダイヤルゲージそのものに「誤差」があるため、完成した定規型ロックゲージも
誤差を含んでしまうからです。
ではどのように作っているのか、を簡単に紹介します。
①ロックの頂点(ブレードの真ん中)をマークします
②ノギスを使用して、ロックの頂点から0.1mm単位で高さが変化する座標をマークしていきます
③0.1mmずつ変化していくマークしている点と点が同一の曲線を維持できていることを
ダイヤルゲージで確認しながら削っていきます。
非常にシンプルですが、
気が遠くなる作業で、1本仕上げるのに、丸1日掛かります。
この超高精度の定規型ロックゲージを使えば、
どの人でも23Rや25R通りに研げているか簡単に確認することができます。
長々と書きましたが、結論としては
研ぐ際に重要なことは、ロックを崩さないように気をつけて研ぐ!!
ロックが変わらないように、粒度が細かい番手の砥石で研ぐ!!
ではなく、
正確なロックゲージ通りに研ぐ!!
ということです。
なにかございまいしたら、下記にご連絡してください。
できるだけ早くご返信いたします。
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